巳年
今年もすでに6月半ば。
あっという間に半分が過ぎてしまいました。
毎年、あれをしなければ、
これもしなければを思いながら、
一年の計を果たせずにいます。
昨年末、所用で東京に行った時の事。
東京ミッドタウンに寄ったのですが、
雑貨屋さんで、今年の干支、
巳の置物を見つけました。
なんともまろやかな優しいお顔です。
六兵衛窯という、京都の窯で作成されたものらしく、
大きさはこのくらい。
それほど大きなものではないですが、
なかなかのお値段でした。
しかし、とても強く惹かれたので、
ゆか先生にお伺いを立て、
を貰って購入しました。
私は普段、
診療中はスクラブを着用しています。
医療系のテレビドラマで、
医師が手術の時に着用しているシーンがあるので、
見覚えのある方も多いと思います。
右胸のところに刺繍が施されているのですが、
たまに、来院された方から、
「そのマークなんですか?」
と聞かれることがあります。
拡大すると、こんな刺繍です。
医療のシンボルマークである、
「アスクレピオスの杖(下図)」と、
と、”獣医(学)の”を意味する、
Veterinary (ヴェテリナリー)の頭文字、
V を足し合わせたものです。
アスクレピオスとは、
ギリシャ神話の医学と治療の神で、
蛇の絡まる杖を持っている姿で表されます。
つまり、杖と蛇のマークは、
アスクレピオスに関連付けられる物なので、
医療のマークとなるわけです。
(関連する持物を、アトリビュート(attribute)という)
なぜ蛇?
思われるかもしれません。
毒をもつ厄介者、
という悪いイメージが先行しますが、
古代ギリシャでは、
蛇が脱皮する様子から、
再生の象徴とされたそうです。
ちなみに、
こちらのマークも見覚えがないでしょうか。
先ほどのアスクレピオスの杖と似ていますが、
こちらは杖に蛇が2匹、そして、羽根の意匠。
これは、「ヘルメスの杖」(もしくは、ケーリュケイオン、カドゥケウスとも)。
ヘルメスは俊足を誇る伝令の神で、
このマークは商業の紋章になります。
しかし、装飾性が高いこと、
軍隊でウイングマークを多用することから、
救急車、軍医、衛生兵etc において、
あえてこちらのマークを選ぶことがあるそうです。
ギリシャ神話上では、
アスクレピオスの叔父が、ヘルメス。
そして、アスクレピオスの娘が、ヒュギエイア。
「ヒュギエイアの杯」(上図)は、
薬学のシンボルです。
しかし、このマークはあまり目にしたことがないです…。
それにしても、蛇に杯だと、
いかにも、”毒”を連想してしまいます。
さて、改めて、
六兵衛窯の巳の置物。
ゆか先生が巳年生まれ、
医療を表すシンボルには蛇。
うちにとっては縁のある置物ですし、
白蛇は縁起の良い動物として信仰の対象にもなっているので、
大事にしたいと思っています。
このネタをやろうと思ってから半年…。
やっと果たせました。