歯科処置・歯みがき相談
「うちの仔、口がすごく臭いんです。」とおっしゃられるご家族の方が多くいらっしゃいます。その臭いの元は、歯周病かもしれません。
歯周病ってどんな病気?
歯の表面についた歯垢・歯石で炎症が起きます。歯周病は歯周組織や顎骨を溶かしてしまう病気です。3歳以上の犬の約6割が歯周病にかかっていると言われています。
歯周病って痛いっ!
でも、犬や猫は痛いって言えません。歯周病になってもすぐに食べることができなくなるわけではないので、ご家族が初期の歯周病に気が付くのは難しいかもしれません。重度の歯周病の場合、やむなくほとんどの歯を抜くこともありますが、たとえ歯が全てなくてもドッグフードは食べることができます。処置をせずに放置し、痛くて不衛生な状態で過ごすよりも、犬・猫にとって生活の質を向上させてあげることができるかもしれません。
いろいろな病気に関係しています!
歯周病は感染症です。歯垢や歯石中の細菌は口の中だけに留まらず、歯肉から血液中に入り体中に広がっ ていきます。心臓・肝臓・腎臓・神経系などで炎症を起こし、色々な病気を引き起こします。
小型犬は特に注意!
犬の永久歯は全部で42本あります。小型犬でも大型犬でも歯の本数は同じです。小型犬は顎の大きさに 対して歯が大きいので、歯周病になって顎が溶かされると、顎の骨が折れてしまうことがあります。歯周病が原因の骨折は治りが悪く、状態によっては、顎を切除しなくてはならないこともあります。
歯みがきが大切!
犬・猫でも、歯磨きは大切です。いろいろなグッズやフードなどが市販されていますが、それらの製品は 補助的なものなので、ガーゼや歯ブラシを使った「歯みがき」が一番大切で効果的です。
定期的な診察も大切!
口の中は健康でしょうか?歯みがきはできていますか?折れている歯はないですか?歯周病は始まっていませんか?今、口の中がどうなっているかを診てもらうことも大切です。その仔の状態に合ったホーム ケア、歯科処置等のご相談をします。また、仔犬では生後5ヶ月頃からの、乳歯から永久歯に生え変わる時期は咬合などをこまめに診てもらいましょう。成犬になっても半年から一年に一度は歯の診察を受けましょう。
“抜けない乳歯、放っておいていいの!?”
当院では、将来の歯周病リスクを減らすため、仔犬の口腔内ケアをお勧めしています。通常、乳歯は生後5~6ヶ月頃に永久歯へ生えかわり始めます。しかし小型犬では、乳歯が抜けずに残ってしまい(乳歯遺残)、永久歯が生えるべき位置・方向がずれてしまうことで、噛み合せが悪くなり(不正咬合)、歯が歯肉に当たって痛みを伴うことがあります。また、成犬になってから歯垢・歯石が付きやすくなり、歯周病の原因となります。乳歯遺残・不正咬合がないか、今できる対処法はあるのか等、それぞれの状態・状況にあわせて、診察・ご相談をさせて頂きます。仔犬の時期にしかできない治療(外科的矯正)もありますので、「そのうち抜けるかなぁ?」と様子を見ずに、ぜひ診察にいらしてください。
歯科処置について
動物達は、「はい、お口を大きく開けておいて下さい。」なんてことはできません。後々のホームケアのためにも、処置で痛みを感じさせないことも大事です。当院では、抜歯はもちろん、歯石除去や乳歯抜歯といったあらゆる歯科処置を全身麻酔下でおこないます。そのため、麻酔下での処置が可能かどうか、事前に血液・レントゲン・超音波などの検査で確認します。人気犬種のミニチュア・ダックスフンド、トイ・ プードルは、特に歯石が付きやすく、歯周病になりやすい犬種です。歯周病になる前に、歯石除去を定期的に行うことをお勧めします。