高齢猫の眼


猫の眼の色が左右で違うと来院された飼い主様。

高齢の猫ちゃんで、

こちらが右眼。

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そしてこちらが左眼。

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確かに左目と右目では黄色い虹彩(こうさい、明暗によって開閉する場所)の色が異なります。

左側の虹彩には茶色の線が何本も入っているように見えます。

これは高齢猫によく見られる症状で、

メラノーシス(メラニン色素の沈着)、もしくはメラノーマ(悪性黒色腫)が考えられます。

簡単な言葉に言い換えると、シミ(前者)か、癌(後者)か、の違いです。

見た目だけではメラノーシスとメラノーマの判別は困難で、

メラノーシスはこの状態が数年単位でこのまま。

症状の進行(変色部位の拡大)が数日から数ヶ月と、

早い場合はメラノーマである可能性が高く、要注意と言われています。

メラノーマは悪性腫瘍のため、眼球摘出という選択肢になるのですが、

メラノーシスとメラノーマは判別が難しいため、

眼科専門医だとこの時点で眼球摘出を勧めることもあるそうです。

また、メラノーマの場合、

犬は転移せずに進行もゆっくりだが、

猫は肝臓に転移することがあるとのこと。

眼科専門医は当院のような一般診療医とは異なり、

眼科検査用の専門的な機器を揃えているので、

より正確な診断が可能であることも早急な判断と決断の要因と言えますが、

流石にご家族は症状に気がついた時点ではなかなか踏ん切りがつかないと思います。

当院では眼圧測定は可能なので、受診時には眼圧を測定しておき、

眼圧が上昇してきた際には、より眼科に詳しい先生にセカンドオピニオンをお願いする、

という流れになります。

高齢猫を飼われているご家族は、

虹彩にシミがある場合には継続的な観察をお勧め致します。