血尿


血尿が出ているとの主訴で来院したミニチュア・ダックスフンド。

毎日出ているわけではなく、

出る日と出ない日があるとのこと。

小型犬や猫は下腹部に手を当てると、

尿が溜まっている膀胱がを触知できるのですが、

体重が7kgと肥満の仔で、

触診が困難だったため、

エコー検査で膀胱を確認したところ、

膀胱内に明らかに異常な物が映りました。

その仔のレントゲン画像がこちら。

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お腹を左横から見た画像ですが、

一目瞭然な物が映っています。

レントゲンは硬い物(骨など)をより白く、

空気を黒く映します。

レントゲンに白く映るものを不透過性亢進と表現します。

ネジや乾電池などを飲み込んでしまった場合は

クッキリと白く写るのでとても分りやすいのですが、

ビニールやプラスチック、

布などは映らないため判別が難しくなります。

さて、先ほどのレントゲン画像ですが、

明らかな異常は…。

DSC02418

 矢印の部分です。

下腹部に不透過性亢進物が存在しているのが明らかです。

バンザイをした状態で撮影した画像がこちら。

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背骨(腰椎)や腰骨(腸骨)と被っているので

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、

DSC02419

ここ(矢印)にあります。

より分かりやすく拡大し、

陰影を調整したのがこちら。

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楕円形の不透過性亢進した物があります。

膀胱内にあるレントゲン不透過性亢進する(=硬い)物、

といえば…。

この仔の膀胱にあったのは、

膀胱結石でした。

外科手術で膀胱切開し、

取り出したものがこちら。

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レントゲンでは3つかと思っていましたが、

小さいものも3つ、合計6個ありました。

特徴的な形状をしているので予測はしていましたが、

念のために成分検査を依頼したところ、

ストラバイト(リン酸アンモニウム・マグネシウム)と呼ばれるものでした。

 この結石は、膀胱内の尿がアルカリ性になると形成されます。

膀胱内に細菌感染が起こると尿がアルカリ性になるため、

結石が形成される要因となります。

また、日常的に摂取している食べ物や水に、

ミネラル成分(カルシウム、マグネシウムその他)が多く含まれていると

この結石が出来る確率が高くなります。

術後は血尿もなく症状は落ち着いたのですが、

元々ドッグフードを食べずに偏食するとのことでしたので、

食生活を改善できなければ、

今後も再発する可能性があります。

以前、まだ若いミニチュア・シュナウザーに大きな膀胱結石があり、

手術後に成分分析をしたところストラバイトでした。

日常生活の確認をしたところ、

その仔のご家族は良かれと思って、

ペットボトルで販売されているミネラルウォーターを与えていた、

とのことでした。

確か、「コントレックス」だったと記憶しています。

「コントレックス」は、

カルシウム、マグネシウムを多く含む硬水です。

この他にも、「エビアン」、「ヴィッテル」なども硬水のようです。

愛犬に与えるお水は、軟水の方が無難かと思われます。

うちで飼っている犬猫は水道水ですが…。