絶句
ここ最近、11月とは思えないほどの温かさが続いています。
今朝7時ごろの気温が20℃。
先週末あたりの日中はあまりの暑さに
日当たりの良い当院の待合室でクーラーを使用。
昨日はかなりの大雨でしたが、
その雨雲が北上し、各地で大雨洪水警報が発令中。
どうもおかしな陽気になっております。
今日の午後、先輩の女性が立ち寄ってくれたのですが、
話をしているうちに、
S先輩 ;「これから休みが埋まっちゃうんだよね。」
私 ; 「どうしたんですか?お仕事?」
; 「いや、開猟になるからさ。」
; 「猟」
ここで、ピンときました。
猟の時期は、イノシシ狩りで逆襲されて大怪我をする猟犬がいます。
イノシシの武器は、約時速45kmで走ることによる突進力。
そして15cmにも達する湾曲した牙。
下顎から上に向かって伸びる犬歯です。
通常、イメージとしては犬や猫の歯のように、
丸くとがった円錐形の歯を思い浮かべるかもしれません。
しかしそうではなく、イノシシの歯は多角形です。
円錐形の歯を真上から見ると、丸い形に見えますが、
イノシシの歯は真上から見ると、台形から三角形に近い形に見えます。
アニメ映画、「もの〇け姫」にもイノシシが出てきますが、
残念ながら犬歯は円錐形でした。
(そういえば、オッコトヌシ様の声優さんは先日亡くなられた森繁〇彌さんでした…。)
この長い下顎の犬歯と短い上顎の犬歯は擦りあうように生えているため、
口を動かすことで犬歯同士が擦れることから、
自然と犬歯が研がれていき、多角形となります。
親友のお父上で、猟師だった故H氏談によると、
イノシシは戦闘態勢に入ると高速で歯を噛みあわせ、
その場で歯を研ぐため、ナイフのような切れ味を持つそうです。
そのため、この牙にあたってしまうと刃物で切られたような傷となります。
イノシシ猟の時は数頭の猟犬を同行させ、
先に猟犬がイノシシを囲むようにして追い詰め、
そこに主人である猟師が追いつき発砲して仕留めるらしいのですが、
経験の浅い犬を同行させると、
猟師が追いつく前に焦って飛びかかってしまうため、
古参の猟犬も仕方なくそれに加勢し、
全員返り討ちの目に合うのだとか。
これからの時期、猟で怪我をして治療を受けにくる猟犬が増。
と、ここまで思ったところで、意外な一言。
; 「いや、それもあるんだけど、私が猟に行くわけよ。」
; 「………(考え中)。えっ銃持ってるんですか」
; 「うん。父親からもらった、ベレッタの上下2連。」
最近、言葉を失ったことがありませんでしたが、
久しぶりに失いました。
猟に行くおっちゃんは知っていますが、女性は初めてです。
(ちゃんと免許も持っているそうです。)
何事も経験とはいいますが、さすがです。
改めて、畏れ入りました…。
家畜の豚は屠畜場で処理することが義務ですが、
イノシシはその義務がないため、猟師自身で処理することがほとんど。
肝臓や腸を十分に加熱しないで食べると、
E型肝炎に感染する恐れがあるそうです。
食べる機会がある際には十分注意しましょう。
先輩、くれぐれもお怪我のないように