鉦踊り
鹿屋も朝晩に肌寒さを感じるようになりました。
でも、晴れた日はまだ汗ばむくらいです。
半袖のTシャツでバイクに乗ると丁度良い清々しさ。
同じ気温でも、春だと花粉症の私はグシュグシュになるので、
一年の中で、今が一番過ごしやすい時期なのです。
先日、ある日の午前中、
処置室で来院の仔の処置をしていたところ、
受け付けから男性の声が。
; 「すみませ~ん。」
私が手を離せなかったため、ゆか先生に対応してもらいました。
;「はーい。」
そしてしばし何やら会話をして、戻ってきたゆか先生。
; 「おじさんが、踊りを踊っていいか?って聞いてると思うんだけど…。言葉がわからない。」
どうやら鹿屋弁(鹿児島弁ともまた微妙に違う)がきつかったらしく、
おっきな”?”マークのゆか先生。
私が変わって受け付けに行くと、
真っ白な半被(?)を着た、年配の男性。
もう一度話をしてもらったところ、
王子町の水神祭で鉦(かね)踊りをして回っているので、
ここは新装開店みたいだから、踊りに来ようか?とのこと。
水神祭も鉦踊りも見たことはなかったのですが、
以前、実家に来てくれた棒踊りを見たことがあったので、
それに近いものかな?と思って了承。
「また後でくっでな(来るからね)。」と言い残して、
その男性は立ち去りました。
斥候のような役割なのでしょうか。
この辺りでは、新築の家やお店の庭先で、
棒や鉦を使った踊りをしてもらうことで、
厄払い、家内安全、商売繁盛祈願になるという意味合いがあるらしいのです。
しばらくすると、また受け付けから、
「おーい、はじむっどー(始めるぞ)。」の声。
出てみると、御近所の御主人が白装束に白鉢巻き(?)
ゆか先生に、慌てて「デジカメデジカメ」といいながら外へ。
当院の駐車場に15人ほどの踊り手さん達が整列し、
踊りを始めてくれました。
手前の紺色の衣装を着ている方が持っているのは太鼓。
白装束の方達が持っているのが鉦。
赤い紙でできた花飾りが付けられていました。
中央奥の男性が、寸志の口上。
「〇〇様より、金百万両、頂きました~」
との掛け声の後に、踊り手さん達が踊ってくれました。
派手な動きをする踊りではないですが、
カーン、カーンという金属音と共に、
厳かな時間と空気に包まれた気がしました。
そして、また改めて、「あぁ、地元に戻ってきたんだ。」
という実感と感慨。
初めてみる踊りでも、そう思ってしまう雰囲気でした。
ちなみに、私が以前見たことがある棒踊りは、
棍棒を持った中学生くらいの子供達が、
10人くらい、2人1組で、お互いの棒を打ち鳴らしたり、
地面を突いたりと、動きのある踊りを見せてくれます。
地固めの意味もあるのだとか。
鹿児島市内出身の母も、
こういった風習は鹿屋に来てから初めて見たそうです。
そして、知らなかったのですが、この鉦踊り、
鹿屋市の無形文化財でした
ポーズを決めてくれたおじさん、ありがとうございます
踊りが終わると、皆さんまた次の場所へ歩いて移動。
手前の女の子は小学校3年生とか。
皆さん、お疲れ様でした。
本当にありがとうございました。
鉦踊りを踊って頂いたことで、
何だか土地の神様に守って頂けるような、
晴れやかな気持ちになりました。
鹿屋市の無形文化財がこれからも受け継がれていくよう、
心から願った秋のひと時でした。