羽虱
タイトルの漢字、読めましたか?
日常的にはあまり目にしない字ですよね。
先日、去勢手術の依頼があってお預かりしたノラ猫ちゃん。
お尻の毛に白い粒状のものが…。
拡大するとこんな感じ。
私たちは割と良く目にするので、
ああ、持ってきたか…。
と思うのですが、
これは羽虱(ハジラミ)の卵です。
毛に張り付いているので、
簡単には落ちません。
内股の毛をかき分けていくと、
モゾモゾ蠢いているハジラミがいました。
顕微鏡で見たネコハジラミです。
ホームベース型の頭部が特徴的。
青矢印は猫の毛です。
ネコハジラミの大きさは1~1.5mm。
卵は産みつけられてから10~20日で孵化し、
2~3週間で成虫となる。
成虫の寿命は2~3週間。
宿主から離れると数日で死ぬそうです。
シラミは種特異性が高い(寄生動物が決まっている)ため、
ネコハジラミは猫にだけ、
イヌシラミ、イヌハジラミは犬にだけ寄生し、
ネコハジラミが人に感染することは基本的にはないようですが、
一緒に寝て人の頭と猫の毛が接触するなどの行為によって
まれに感染することもあるようなので油断はできません。
対処法としては、フロントラインプラス キャットがハジラミに有効です。
ノミに対しては1~1.5ヶ月間、
マダニに対しては3週間の効果持続と明記されていますが、
シラミについては明記されていませんので、
3週間くらいと思った方が良いかもしれません。
ただし、毛に着いた卵はそのまま残るので、
気になる場合は毛を刈らないといけないことになります。
ハジラミは体表面に寄生しているため、
猫が痒みから口で咬むと、
ハジラミを飲み込んでしまうことがあります。
そうすると、条虫(ジョウチュウ)という、
腸内に寄生する寄生虫が感染してしまう事があります。
外に出る機会のある猫はハジラミに感染していることがあるので、
体表面をよく観察してみて下さい。
条虫についてはまた次回に。