形質細胞性足皮膚炎
昨年11月末に来院された猫の症例です。
「1ヶ月前に肢のケガに気が付いた。」
とのことでしたが、
診てみると、四肢の肉球が潰瘍になったり、
一部は肉芽が膨隆しているところもあり、
怪我ではなく、
腫瘍を思わせるような所見でした。
↑ 初診時の左前脚肉球
まずは抗生剤と消炎剤を処方し、
3日後に麻酔科にて膨隆した組織を一部切り取り、
病理検査を依頼したところ、後日、
「形質(プラズマ)細胞性足皮膚炎」との回答が戻ってきました。
私は初めての症例で、
こんなに腫れているのに腫瘍じゃないんだ…。
と驚きました。
形質細胞とは、リンパ球から分化した細胞で、
炎症病巣に生じる炎症細胞でもあります。
この病気になってしまう原因は分かっていませんが、
免疫が関与していると考えられています。
病理検査結果を受け、
抗生剤とステロイド剤の投与を開始したところ、
1ヶ月ほどで症状が落ち着いてきました。
↑ 治療開始1ヶ月後の左前脚肉球
ステロイド剤は長期間飲ませ続けると副作用が出るので、
徐々に服用量を減らしていかなければなりません。
今は毎日飲んでいたのを1日おきに1回まで減らしており、
できれば3日に1回まで減らして行きたいのですが、
減らすと同時にまた肉球が腫れてしまう可能性があるので、
症状と副作用のバランスを考えながら調整していきたいと思っています。