ミミヒゼンダニ
室内外を出入り自由にしている猫や、
主に外で生活しているノラ猫、
知り合いのところで産まれた仔犬をもらってきた、
という仔が来院した際、
耳の穴に黒い耳垢がたくさん出ていることがあります。
この耳垢を綿棒で取ると、
連れてきたご家族が、「うわっ!こんなに!?」
とビックリするくらいの耳垢が出てくるのですが、
こういった時は、
ミミヒゼンダニという小さなダニが耳に感染していることがあります。
目が慣れてくると、
肉眼でも確認できます。
黒い耳垢の表面に白い点(緑矢印先)のように見えるものがあるときは、
よ~く目を凝らします。
拡大すると…。
こんな感じに見えます。
ここに見えている白い点は、
全てミミヒゼンダニです。
見ていると、割と早いスピードで移動します。
顕微鏡で見ると、
丸い胴体に細い肢が6本のダニが確認できます。
感染すると非常に強い痒みを伴うので、
耳を掻いたり、頭を振ったりする頻度が増えます。
黒い耳垢が出る時には、
細菌やマラセチアという真菌が増えている場合もありますが、
どちらにしても、
耳を痒がり、黒い耳垢が出ているときには要注意です。
当院では、ミミヒゼンダニがいた場合は、
耳道の耳垢を除去、洗浄した後、
レボリューションというお薬を使用しています。
首の後ろに滴下するタイプのお薬で、
体重によってサイズが変わります。
写真上が2.5kgまでの仔犬・仔猫用、下が2.5kg以上の猫用。
犬の2.5kg以上用も各種揃っています。
このお薬は、
体の表面に寄生するノミ成虫や、ノミの卵・幼虫、
蚊が吸血する際に感染し、心臓内に寄生するフィラリア、
猫に対しては消化管内寄生虫の回虫にも効果があります。
販売され始めてから8年ほど経っているかと思いますが、
このお薬にはかなりお世話になっています。
最近では、ノミ成虫・卵・幼虫を含め、
9種類の寄生虫に有効な新しいお薬も出てきました。
ノラ猫を保護した際、
健康状態が悪くなければこういったお薬を使用しておくと、
より安心だと思います。