節電


当院の受け付けに、張り紙をさせて頂いております。

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現在、関東地方で計画停電を行うなどの処置がとられているため、

当院でも節電を心がけております。

私には来ていませんが、

私の家族に節電を呼び掛けるチェーンメールが送られてきました。

これ自体は信憑性のないものであると発表され、

電力会社でも節電を呼び掛ける発表は行っていないようです。

ですが、今回の地震・津波による被害地の現状と、

計画停電により不便を強いられている関東地方のことを考えると、

「こちらは関係ないから。」といってはいられないと感じています。

トラブルで電力の供給不足が発生した際、

余力のある会社から送電を受けられるよう、

電力会社間は送電線のネットワークがつながっているそうです。

この電力のやり取りを、「相互融通」といいます。

しかし、東日本と西日本では、

東では50Hz(ヘルツ)、西では60Hzと交流電源の周波数が異なるため、

西で余った電力をそのまま東へ送るということはできず、

周波数を変換する必要があるそうです。

西と東の境界線は、糸魚川静岡構造線にほぼ沿っているのですが、

これは、新潟県糸魚川市の親不知から諏訪湖を通り、

静岡市の安倍川に至るまでの大断層線のことだそうです。

周波数を変換することができる施設は、日本に3ヶ所あります。

静岡県浜松市の、電源開発株式会社 佐久間周波数変換所。

静岡県静岡市の、中部電力 東清水変電所。

長野県東筑摩郡の、東京電力 新信濃変電所。

この3ヶ所で変換し、融通できる最大電力は100万kW(おそらく1日)。

そのため、いくら西側で電力が余っていても、

そのまま東側へ送電することができないのですね。

電力周波数の違いというやっかいな問題。

先日、友人達と集まった時にも話が上がったのですが、

「なぜ、東日本と西日本で電気の周波数が異なるのか?」

これは、明治時代に、関東では東京電燈が50Hz仕様のドイツ製発電機を、

関西では大阪電燈が50Hz仕様のアメリカ製発電機を採用したことによります。

ひとつの国の中でこれだけきっちりと周波数が分かれていることは極めて珍しく、

第二次世界大戦直後、復興に合わせて商用電源周波数を統一しようという

動きがあったようなのですが、復興が急速に進んだため、

実現がほぼ不可能になったとされているようです。

一国に異なる商用電源周波数が存在することで、

日本の電気工業技術は世界的に高められたと言われているそうですが、

今回のような大規模災害が起こってしまうと厄介な問題となります。

以前は、西と東で電化製品を使用する際には周波数が異なるので

気をつけなければならないといわれていました。

周波数が異なっても使用できるのは、

テレビ、ラジオ、ビデオデッキなどの音響・映像機器、

パソコン、照明器具、掃除機、

トースター、電気コタツ、電気毛布などの電気抵抗を利用した熱機器。

性能が変化するものは、

冷蔵庫、扇風機、エアコンで、

50Hzでは能力が落ち、60Hzでは消費電力が若干大きくなる。

しかし、インバータ(直流電力から交流電力を電気的に生成する電源回路)を

内蔵している機器では性能の変化は起こらないそうです。

使用できなくなるもの(インバータを内蔵している機器は除く)ですが、

レコードプレーヤー、テープレコーダーは再生スピードが変化。

電子レンジでは50Hz用を60Hzで使用すると焦げたり、

その逆では内部機器が加熱焼損し危険。

洗濯機では脱水時の回転数が高くなりすぎ、

蓋を開けた時のブレーキの危機が悪くなり危険。

しかし、最近の電化製品は、高効率化・低消費電力化を目的に、

前述のインバータを内蔵している電化製品が多いため、

製品の表示や取扱説明書に「50Hz/60Hz」と記載されていれば、

そのまま使用できるか、切り替えスイッチがあるようです。

計画停電圏内の動物病院の先生のお話を聞くと、

停電に合わせて手術を行う日を調整されたり、

半日の診療を休診とせざるを得なくなる等、

色々とご苦労があるようです。

こちらでは計画停電のない毎日を過ごしておりますが、

やはり皆様のご苦労を思うと、いつも通りとはいきません。

僅かながらでも助力となれば、と思っております。

福島原発で復旧作業にあたられている方々は決死の覚悟だと思います。

作業員の皆様のご無事を心よりお祈り致しております。

電力の復旧と、放射線による被害の収束、

そして、1日でも早く被災者の皆様が平穏な日々を取り戻せるよう願うばかりです。